なぜ日中品質基準にギャップがあるのか

中国工場は GB(国标) をベースにするが、日本市場は JIS(日本工業規格) + 業界標準 + 各社規格 の三層構造で要求する。

5 つの重要な差

1. 寸法公差の「呼び方」と「測り方」

JIS:JIS B 0401(限界寸法)の「等級」(f, g, h など)を使う GB:GB/T 1800(公差等级 IT01〜IT18)を使う

実例:JIS h7 vs GB IT7 は同じ等級だが、JIS は常用される許容差が異なる(メートル系 vs ヤード・ポンド系の影響)。

2. 表面粗さ

JIS:JIS B 0601(Ra, Rz, Ry)で表記 GB:GB/T 1031 で同様に Ra 表記だが、測定器の校正基準が異なる(JIS は ISO 4287 準拠、GB は ISO 4287 + 中国独自補正)

実例:日本客先が「Ra 0.8」と要求、中国工場が「Ra 0.8 達成」と報告 → 実測 1.6μm のケース。校正の違い。

3. 塗装・めっきの膜厚

JIS:JIS H 8504(めっき膜厚)、JIS K 5600(塗膜) GB:GB/T 4956(めっき膜厚)、GB/T 13452(塗膜)

実例:JIS H 8504 は蛍光 X 線での測定を規定、GB/T 4956 は磁性法も認める → 同じ「20μm」でも実測値が違う。

4. 食品接触材の安全性

JIS:食品衛生法 + 業界自主基準 GB:GB 4806.1〜4806.11(食品安全国家标准)

実例:日本向けメラミン食器、中国 GB 4806.7 適合だが JIS が要求するホルムアルデヒド溶出試験を追加で実施しないと輸入不可。

5. EMC(電磁両立性)

JIS:VCCI 自主規格 + 電気用品安全法 GB:CCC(中国強制認証)

実例:日本市場向け Wi-Fi モジュール、中国 CCC 取得済みでも日本 技適マーク未取得 → 販売不可。

まとめ:中国工場が JIS に対応する 5 つのステップ

  1. JIS 規格の正式版を購入(日本規格協会 JSA から ¥2,000-¥5,000/規格)
  2. JIS 検査機器を校正(日本の校正機関経由)
  3. 抜き取り検査頻度を増やす(中国 GB は抜き取り AQL 4.0、JIS 客先は AQL 1.0 が多い)
  4. JIS 不合格時の対応フローを事前合意
  5. 初回ロット 100% 全数検査を JIS 客先立ち合いで実施